ミュージアム探訪 インターメディアテク

ここは本当に東京駅から徒歩1分のビルの中だろうか、ヨーロッパの貴族か趣味人の館に迷い込んだのではないかー。展示室にいるうちにそんな錯覚を覚える。日本郵政のビル「キッテ」にあるミュージアム、インターメディアテクである。

インターメディアテクは、日本郵政と東京大学総合研究博物館が共に行う社会貢献事業として2013年にオープンし、入場は無料。東大が1877年の開学以来、蓄積してきた学術標本や研究資料などを常設展示している。

印象的なのは、その“雑多”で圧倒的な展示物と展示方法。東大研究室で実際に使われていたガラスケースの中に、ミイラや鉱石、カエルやスズメ、魚などの骨格が並べられている。棚の上に時計や楽器が安置され、3メートル近い巨大なタビビトソウの葉っぱが、その壁に飾られている。タヌキの剥製も、クジラの骨も、江戸時代の茶器も、3000年前のイランの動物型の器も、みんな同じ空間にいる。来館者は座り心地の良いビロードの椅子に腰掛けて、それを味わうことができるのである。

2階の奥に位置する展示室「ファースト・サイト」の壁には、2015年にフランスのリヨン市から実業家、エミール・ギメ(1836-1918)の所蔵していたガラスケース6点を寄贈されたことをきっかけに「ギメ・ルーム『驚異の小部屋』」の常設展を開始した、とある。ギメルーム「驚異の小部屋」そのものはファースト・サイトを指しているのだが、順路や導線は設けず、来館者自らの体験を重視するインターメディアテク全体に、その名前がぴったり。大きくはないが、驚きと感動、そして、心あるもてなしを受けたような喜びがある。

アバンギャルドな冊子が売られている3階のショップ、タイルや取っ手の装飾まで美しいトイレも必見。カテゴリー分けされないのびのびとした展示物の中にあって、これらもまた、自然史・文化史の一部であるかのように感じられた。

2階と3階を結ぶ階段の横にいる「マチカネワニ」。大阪府待兼山の新生代中期更新世(約45±5万年前)の地層から発見された化石のレプリカ。とにかく大きい!エントランスホールにこの名前のワニを配置するセンスもうれしい。
トイレの壁の曲線も心地よい

【基本情報】

インターメディアテク

東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE2-3 F(東京駅丸の内北口、目の前)

開館時間11時〜18時(金土は20時まで)

休館日月曜日(月曜日が祝日の場合は翌日休館)、年末年始、その他館が定める日

入館料 無料

問い合わせ 050-5541-8600

★2023年から写真撮影可に!

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